無料ブログはココログ

お薦めホームページ

« 「絵本とわたしの物語展」(S) | トップページ | 「第1回ポストカードとミニ原画展」(S) »

2018年11月21日 (水)

「ブラティスラヴァ世界絵本原画展 BIBで出会う絵本のいま」(S)

「ブラティスラヴァ世界絵本原画展 BIBで出会う絵本のいま」

Th_img_3856

奈良県立美術館で開催中の「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」に行ってきました!絵本の原画展ですが子どもだけでなく、大人の方も楽しめる原画展です。
会場までの道にはシカがいて、さすが奈良!と思わず写真に撮ってしまいました。前回奈良に来たときは天気が悪かったのか…シカさんに会えなかったので、こんなに近くで見れてラッキーでした。展覧会にいらしたらぜひ奈良公園も散歩してみてください。

Th_img_3852

Th_img_3854

Th_img_3855

ブラティスラヴァ世界絵本原画展(Biennial of Illustrations Bratislava=BIB)はスロヴァキア共和国の首都ブラティスラヴァで2年ごとに開催される絵本原画展です。26回目の2017年秋には49ヶ国373組による488冊の絵本、総計2657点の原画が集まりました。これらは出版された絵本の原画を審査対象としています。1作家につき10点の原画とその絵本が2冊まで、1国あたり15名の応募が可能です。審査は9名の国籍の異なる審査員が行い、グランプリ1件・金のりんご賞5件・金牌5件・出版社賞4件が選出されました。今回の展覧会ではBIB 2017年の受賞作品と日本からの参加作品が展示されています。受賞作品の絵本も置いてあり、自由に手に取って読むことができます。世界各国の絵本を見られる貴重な機会です。奈良で13ぶりに開催されるBIB展にみなさんもぜひ行ってみてください。

グランプリ

ルトウィヒ・フォルベーダ(オランダ)《鳥たち》
公園と広場に立つ男女の像。ふたりは愛し合っているのに触れあうこともできない。ふたりを結ぶのはあいだを行き来する鳥たちだけです。
最後はトラックで運ばれていく二つの像。そこでようやく一緒になれた二人の行き先は溶鉱炉です。それまで鳥たちは像のもとで羽を休めたりしていましたが、最後は空を舞っていきます。何とも言えない気持ちになります。像にとっての愛と幸せの形、絵の中に描かれている鳥たちの気持ちとは?みなさんも感じてみてください。大人向けの絵本です。
 

金のりんご賞

ナルゲス・モハンマディ(イラン)《わたしは一頭のシカでした》
王に仕える猟師が放った矢によって怪我をしたシカが、逃げる途中、同じように怪我をして倒れている王に出会う。シカはなんとか助けるものの、自分は命を落とす。狩るものと狩られるもの、決して交わることのなかった両者の心が死を目前にしてぴたりと重なる。抑えた色調で構成された画面の中で際立つシカの美しさが印象的です。
絶滅危惧動物などの世界中で大変重要な問題を扱っています。多くの人がこの絵本を読むことで、こうした問題に目を向けるきっかけになればいいと私も思います。
 
アンナ・デスニツカヤ(ロシア)《懐かしのロシアの家》
モスクワにある36部屋のアパートの1902-2002年の100年の物語で、13の年代が描かれています。
 
ダニエラ・オレイニーコヴァー(スロヴァキア)《害虫たち》
生活の上で嫌われたり怖がられたりする生き物たちに焦点を当てた絵本です。ハエ・アリ・ネズミ・虫歯までが蛍光ピンクやグリーンで描かれ、文章が添えられています。子どもだけでなく大人にも生き物の興味を抱かせる魅力を持った絵本です。
ダニエラ・オレイニーコヴァー(スロヴァキア)《逃げる》
町の異変から少年は父親と犬と一緒に逃げ出した。好奇心に満ちた出発だったが、行く先で奇妙な人ばかりに出会い、居心地の良い場所を見つけられないまま父親を見失ってしまう。疲れや孤独を感じながらも走り続けた少年は、最後に理想的な場所にたどり着き、父親と再会する。
2作品ともタッチは違いますが、子どもも大人もそれぞれの視点で楽しめる作品だと思います。親子で一緒に読みたい作品です。
 
キム・ジミン(韓国)《ハイドとわたし》
平面ではなく、立てたり・折り畳んだり・広げたりする絵本です。作者は絵本で立体のオブジェを作り出しました。子どもにはオブジェとしての面白さを、大人には物語を作り出すプロセスを楽しませてくれます。限定版で5部しかないオリジナル手製本が展示されています。
こうした絵本は新鮮です。仕掛けがある絵本を見るとやっぱりわくわくしてしまいます。
 
荒井真紀(日本)《たんぽぽ》
道端に咲くたんぽぽの一生をひとつの物語を紡ぐように、水彩を用いて描かれた作品です。自宅近くの空き地からたんぽぽを掘り出し、庭に植えて観察しながら、その生態を綿密に表現するとともに、子どもたちのも読みやすい文章を添えています。「自然科学がテーマの絵本は、内容に間違いがあってはならない」と考える作者の紳士な思いが伝わる絵本です。
すごい!の一言です。本当に一つの間違いがないほど、細かく繊細にたんぽぽが描かれています。口や文章で説明されてもわからないことが、この絵本を見ればたんぽぽの全てがわかります。花びらのひとつひとつまで解剖して描き出す。その根気と集中力には脱帽です。
インタビューで《たんぽぽ》についての過程などを話されていました。ラフを見て原画を描くのに、見開きだと3〜4週間かかるそうです。色にも気をつかっていて、完成しても2・3ヶ月してからもう一度見て、納得できたら本当に完成となるそうです。ラフ画もとても細かいので、長い時間をかけてこの絵本が作られていることがわかります。

子ども審査員賞

この賞はスロヴァキアに住む子どもたちの審査団によって選ばれる賞です。2017年は8〜14歳の7名で、審査院長は10歳の女の子でした。

ペテル・ウフナール《ボイニツェに暮らすブーベルたち》
スロヴァキア、ボイニツェ城の近くの泉に住むブーベルという架空の小さな生き物と人間たちの交流を描くファンタジー作品です。ブーベルは3本の手に小さなバケツを持ち、おたまじゃくしのようなしっぽがあります。
 

ブラティスラヴァ市長賞

こちらの賞はスロヴァキアのイラストレーターを対象とした賞です。

スヴェトザール・コシツキー《悪魔、魔女、その他のおばけ》
26章に渡り、スロヴァキアに伝わる伝説の生き物を紹介する絵本です。スロヴァキアの実在する都市やお城が各章のタイトルになっています。無彩色のイラストレーションは重厚でどっしりとしているが、同時に自然界の動的な印象も与えます。彩色を抑えた画面によって古くから存在する神秘的な世界がより強調されています。
原画は本当に神秘的な美しさを感じる作品です。本当に存在するのではないかと思わせ、魅入ってしまいました。
 

金牌

ミロコマチコ(日本)《けもののにおいがしてきたぞ》
アイディア帳とラフ画も展示されていました。ラフと原画が違うページもありました。ページをめくるごとにがらりと変わる世界を表現したかったそうです。実はタイトルも最初は《けものみち》だったそうで、作品を作り上げていく中で《けもののにおいがしてきたぞ》ということなのでしょう!
 
ハンネ・バルトリン(デンマーク)《すべていついての話》《あなたについての話》
 
ロマナ・ロマニーシンとアンドリュー・レシヴ(ウクライナ)《うるさく、しずかに、ひそひそと》
世界は音に満ちている。音を測る単位、音を表す文字や手話、沈黙の哲学まで、目に見えない音、聴覚にまつわる話を様々な角度から描く科学絵本です。どのくらいの音なのかをdBごとに絵で表現しているのが面白かったです。
ロマナ・ロマニーシンとアンドリュー・レシヴ(ウクライナ)《イヴァン・フランコ−のすべて》
イヴァン・フランコーの人生をウクライナ語のアルファベット順に紹介する事典形式の伝記絵本です。写真や本のコラージュ、幾何学模様、ドローイング、刺繍、タイポグラフィーなど画面ごとに異なる技法を駆使したイラストレーションで構成されています。
 
オラフ・アミット(イスラエル)《アマアマと、サッサカとオヒサマ》
黒犬のアマアマと、猫のサッサカと犬のオヒサマが出てくるおはなしです。幸せと悲しみを矛盾させることなく結びつけようとしました。色鉛筆で描かれるやさしいタッチの絵で、オヒサマの寂しさ哀しさを表してからのアマアマとサッサカと過ごす楽しさを表す絵が印象的です。
 
イスラエル・バロン(メキシコ)《メキシコの架空の生き物図鑑》
メキシコの各地に伝わる22のモンスターを紹介した絵本です。リズミカルな紹介文と恐ろしげだがどこかユーモアと温かみのある緻密な絵の絶妙なコンビネーションが怖いもの見たさを刺激し、豊かな民間伝承の世界へと読者を誘います。
 

出版社賞

絵のコンセプトや出版の意義が評価される出版社を対象とした賞です。全作品の中から革新的な絵本1作と出版奨励国の中から1〜3作が国際審査員によって選ばれます。

ガング・デザイン/パニ・ユレック(ポーランド)《いたずら雑種犬をつくろう》
雑種犬が持つ美しさと多様性の大切さを子どもに伝えるプロジェクトから生まれた参加型絵本です。犬の顔の仕掛けが楽しい箱を開けると画風も様々な純血種の犬たちのカード40枚が入っており、各部を自由に組み合わせてコラージュして遊べる社会的メッセージと遊び心が一体となったデザインの絵本です。
 
アル=ハディーク・グループ(シリア)《またね!》
少女は肉親と幸せに暮らしていましたがある日父が家を出てしまいます。父と母を交互に訪ねては一定期間を過ごします。共に過ごす間は楽しいが別れの時は辛く、いつも何もいえません。その悲しみを越えて告げる「またね」。
 
ペイジズ・アンド・ステーショナリー社(ガーナ)《アリと砂糖》
 
リタラ財団(インドネシア)《ワードローブの中の遊び場》
 
そのほか、BIB2017日本代表作家の作品と近年注目されている中国・イラン・イスラエル・韓国の絵本が会場に展示されています。中にはブラティスラヴァ世界絵本原画展に行くことのできなかった こしだミカ さんの作品が今回は展示されています。ブラティスラヴァ世界絵本原画展の会場では1m×1mのパネル2枚分に作品を展示するのですが、ロール状の布紙に描かれた作品がその大きさに収まりきらなかったため現地では展示することができませんでした。今回の展示会ではその作品も見ることができます。みなさんもぜひご鑑賞ください。

「絵本のひろば」
Th_img_3858

Th_img_3860

Th_img_3861

Th_img_3862

Th_img_3863

Th_img_3867

Th_img_3869

Th_img_3877

Th_img_3878

Th_img_3865

Th_img_3866

Th_img_3868

Th_img_3871

Th_img_3872

Th_img_3873

Th_img_3874

Th_img_3875

Th_img_3876

Th_img_3879

Th_img_3880

Th_img_3881

Th_img_3882

Th_img_3883

Th_img_3884

Th_img_3885会場内には「絵本のひろば」が設置され、そこには絵本がいっぱい置かれています。この展覧会で展示されている絵本もあるので読んでみてください。ここにある絵本を全て読もうと思ったら一日では足りないかもしれません。お子さんにもぜひ読み聞かせしてあげてください。

日時:開催中〜12/2(日) 9時〜17時(入館は16時半まで)
休館日:月曜日
料金:一般800円 大学生・高校生600円 中学生400円 小学生以下無料
会場:奈良県立美術館 近鉄奈良駅から徒歩5分
詳細:こちら
 
 
絵本のおはなし会
日時:毎週土曜日 13時半〜/15時〜(1回30分程度)
協力:奈良子どもの本連絡会
会場:絵本のひろば
 
美術講座「絵本から見る世界の文化」
日時:11/23(金・祝) 14時〜15時半
講師:飯島礼子(当館主任学芸員)
定員:80人
会場:レクチャールーム
 
体験コーナー「絵本をつくってみよう!」
日時:11/25(日) 10時半〜
会場:レクチャールーム・無料休憩室
 
ミュージアムコンサート
12/1(土)12時半〜
 ガマード奈良 男性コーラス
12/2(日)14時〜
 沢井琴曲院勝美会
 

« 「絵本とわたしの物語展」(S) | トップページ | 「第1回ポストカードとミニ原画展」(S) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/65885/67399004

この記事へのトラックバック一覧です: 「ブラティスラヴァ世界絵本原画展 BIBで出会う絵本のいま」(S):

« 「絵本とわたしの物語展」(S) | トップページ | 「第1回ポストカードとミニ原画展」(S) »